股関節脱臼した症例に対し、麻酔下で整復を行った3症例です。

症例1:腹側方向の脱臼

『小型犬がテーブルから落下し、その後後足をビッコ引くようになった!!』とのこと。

体重5.0kg 活発な小型犬

レントゲンにて右足 股関節脱臼を確認し、その日の午後に整復処置を行うこととしました。

≪脱臼時≫

≪整復後≫


整復処置後も再脱臼しないように、股関節に負担がかからないように後足にバンテージを巻いて退院していただきました。
2週間はバンテージを巻いたまま安静に過ごしていただき、その後はゆっくり運動を開始し、日常生活に戻っていただきました。
このワンちゃんは再脱臼せず元気にしているとのこと。

症例2:頭背側方向の脱臼

≪整復後3週間≫

再脱臼せず治療終了としました。

症例3:頭背側方向の脱臼が修復できなかった症例

12才 トイ・プードル 去勢オス 体重6.0kg(やや肥満)

『2か月前から起き上がる際にヨタヨタしていた』との主訴で来院

≪来院時・整復前≫

≪整復を試みた状況≫

中には再脱臼してしまい、股関節の手術を必要とするケースがあります。
整復できた症例1,2のワンちゃんも、今後再脱臼する可能性はあります。
将来的に股関節形成不全による痛み、歩行姿勢の変化などが見られるかもしれません。
過剰な体重は関節に負担をかけるので、体重管理、適度な運動により筋肉を保ち、できる限り関節を補強したいですね。
サプリメントも有効だと思います(諸説あり)。

股関節脱臼は脱臼方向によって整復の難易度、整復処置後のバンテージ方法が大きく異なります。
歩行が変だな!!と感じたら早めに動物病院でチェックしましょう!!