目の辺縁(眼瞼)には『マイボーム腺』という『脂質』を分泌する分泌腺が並んでいます。

このマイボーム腺が良性の腫瘍性変化を起こし、シコリを形成したのが『マイボーム腺上皮腫』です。

千住製薬㈱資料より
千住製薬㈱資料より

『目にイボ・シコリができた』という相談は時々ありますが、手術で切除するケースは当院ではあまり多くありません。

シコリの大きさ、形状、場所などによりますが、生活に支障のないシコリは経過観察することもあります。

『目にイボ・シコリができた』という相談では、眼球そのものにシコリが出来ているケースと、眼球の近くにシコリが出来ているケースがあります。眼球にシコリが出来ていたり、当院で対応が困難と思われる症例については眼科専門を紹介させていただきます。

眼球の近く・・・目蓋や結膜にシコリが形成されている場合、外科切除やレーザー切除処置の前に細胞の検査が必要なのですが、安全に細胞を採取するために鎮静処置が必要になります。鎮静処置を行うか否かは症例によりますが、細胞採取の際に眼球を傷つける可能性を考慮し、積極的に鎮静処置を実施します。

採取された細胞から著しい悪性所見が無ければ、手術あるいはレーザー処置でシコリを取り除く処置を行います。

【症例】

12歳のトイ・プードル

オス(去勢手術済み)12歳とは思えない元気なトイプーさんです。

『6か月前に目のシコリに気付き、経過観察していたところ、ここ1週間で急にシコリが大きくなった』とのこと。

左目の外観
手術前にシコリを確認
手術前にシコリを確認

全身麻酔下でシコリの切除手術を実施しました。

シコリを切除して、縫合が終わったところ
手術後数時間経った状況

手術当日に帰宅し、2週間後に抜糸をして終了です。性格にもよりますが、安全の為、抜糸にも鎮静処置が必要になるでしょう。