こんにちは久しぶりのブログ。今回は、乳歯抜歯についてお話します。
当院では避妊、去勢手術時に『乳歯を抜きましょうか?』と飼い主さんへ乳歯の抜歯を提案することがあります。
通常犬、ネコとも7ヶ月齢程度で乳歯から永久歯へと生え換わるのですが、乳歯が抜けず残っている状況を『乳歯遺残』と言います。
乳歯遺残は小型犬に多く、病気ではありませんが将来的に歯周病、口内炎、歯肉炎の増悪因子になります。
新しく生えてきた永久歯と、残った乳歯の間に歯垢・歯石がたまりそこから歯周病、口内炎、歯肉炎が広がっていくからです。
人のように歯磨き習慣のある動物でも歯肉炎はなかなか治りません。
ましてや歯磨き習慣のない動物が歯、歯茎をよいコンディションでキープすることは至難の業です。
そこで、乳歯遺残の動物に対し『去勢・避妊手術で麻酔をかけるので、その際に乳歯を抜きましょうか?』という提案になるのです。
ちなみに当院では乳歯を抜く際に、別途費用 1,000~2,000円/1本 がかかります。
次の写真は当院でスケーリング処置の際に乳歯抜歯を行ったケースです。
↑この状況から、超音波で歯石を除去(スケーリング)処置を行い、犬歯の乳歯を抜く処置を行います。
↑歯が白くなって、犬歯の横の歯が抜けているのが分かると思います。抜歯処置は『簡単でしょ?』と言われることもありますが、かなり繊細で気を遣う処置です。
↑抜けた犬歯の跡を1糸縫合して処置終了です。
歯科処置に関して、歯石除去は麻酔なしでできますか?と質問を受けることが多々あります。
当院で歯石除去を行う際、麻酔処置を必ず行います。
グラグラした歯を抜く・・・溜まった歯石を部分的に削る・・・等の処置を麻酔なしで行うことはありますが、基本的に口腔環境を改善させる目的で行う処置の際は麻酔処置が必要とお考えください。
ちなみに・・・上の写真は一見、目の下の皮膚病のように見えますが、歯根尖膿瘍といって、歯の病気(歯根尖周囲病巣)が原因で目の下に膿瘍を形成し、その膿瘍が破裂した状態です。ブログタイトル『乳歯の抜歯』から脱線しますが、一度歯周病、口内炎、歯肉炎がひどくなると日々のケアでは完治しません。近年はワンちゃん、ネコちゃんともに歯みがきが当たり前の時代です。毎日少しずつ。それがなかなかできねんだなあ (あいだみつを様)。より快適な生活の為にみなさん頑張ってください。