こんにちは動物看護師の須崎です。

患者さんから猫の腎臓病予防に関連したAIMについて聞かれることがあり調べたので今回ブログにてご紹介させていただきます。

初めてのブログ掲載になりますので至らなないところもあると思いますが読んでいただけたら嬉しいです。

まず、日本では1000万頭近い猫が飼われていますが、シニア猫では半数以上が腎臓病あるいは腎臓病予備軍と言われ、毎年多くの猫が腎臓病で亡くなっています。

詳しくは後述しますがAIMは腎臓内の尿細管に溜まった細胞老廃物「ごみ or デブリ」を排出させる作用があります。猫は先天的にAIMが免疫タンパクIgMから離れにくく、AIMが尿細管に移行しにくいので尿細管に細胞老廃物「ごみ」が溜まり、腎機能に障害を与えるようになります。腎臓は老廃物をろ過し尿として排出する器官なので、腎臓内に「ごみ」が増えて目詰まりすると働きが落ちてしまうのです。その結果、多くの猫が腎臓病になって命を落とします。

AIMについてご説明させていただきます。

AIMとはapoptosis inhibitor of macrophageの略語でタンパク質の一種です。

AIMは通常、IgMと呼ばれる抗体の一種と結合しているものの、病気などで、体内に「ごみ」が発生するとIgMから離れて「ごみ」と結合します。

体の細胞は日々新しいものに入れ替わりますが、その過程で、老廃物の「ごみ」が生まれ、それが体内にたまると、さまざまな病気の原因になります。

Aapoptosis は「離れて落ちる、脱落する」という意味のギリシャ語に由来する語でプログラムされた細胞死という意味で使われています。

I inhibitorは「抑制するもの」。

Mmacrophageは体内に入った異物を捕食・消化する機能を持つ白血球の一種です。

       AIMは「マクロファージのアポトーシスを抑制するもの」です。    

AIMの役割について例えを使ってご説明させていただきます。

AIMの役割は例えるなら粗大ごみを収集するときに張り付ける「収集シール」のようなものです。血液の中には体の老廃物を食べる免疫細胞「マクロファージ」がありますが、目印がなければ、どれがごみなのかわかりません。AIMは普段、抗体の一種の「IgM」とくっついていますが、ごみがたまるとIgMから離れ、自らごみとくっついて「ここにごみがある」とマクロファージに伝えます。自分もろともマクロファージに食べさせることで、ごみを処分するのです。

次に腎臓病とAIMの治療についてご説明させていただきます。

腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排泄する重要な器官であります。腎臓の機能が低下すると、血液中に老廃物が溜まり、身体の色々な臓器の働きに支障をきたします。出血による腎臓の虚血、細菌感染、薬剤など色々な原因により腎臓が障害され、急速に腎機能が低下する状況を急性腎不全といいます。急性腎不全は自然に改善する場合もありますが、致死率も高いです。また、急性腎不全を発症した患者は慢性化するリスクが著しく高まり、慢性腎不全となりヒトでは将来的に透析を受けなくてはならなくなる場合も多いです。

急性腎不全に対して確実な治療法の確立は果たされていませんでした。東京大学大学院医学科の宮崎徹教授らの研究グループは、自ら発見したタンパク質AIMが直接腎臓に働きかけ急性腎不全を治癒させることを明らかにしました。

急性腎不全が生じると、腎臓の中の尿の通り道(尿細管という)に“ごみ”(細胞の死骸)が詰まり、そのことが腎機能の低下を招く引き金となることが知られています。AIMは通常血液中に存在するが、腎臓の機能が低下すると、尿中に移行しごみに付着します。そして付着したAIMが目印となって、周囲の細胞が一斉にごみを掃除し、迅速に詰まりが解消され、その結果、腎機能は速やかに改善することが明らかになりました。

これまで確実な治療法のなかった急性腎不全の治療がAIMにより可能になると期待されています。また、急性腎不全治癒後も定期的にAIMを投与し、腎臓のごみを掃除することにより、急性腎不全の再発や慢性化のリスクを低下させる可能性が高いと考えられます。また、AIMは本来人間の血液中に存在しているので、安全性の高い治療法となることが期待されています。

今なおAIMを活性化させる薬剤の研究は進められておりその研究課程で誕生したのが2022年3月に発売された腎臓の健康維持フード「AIM30」です。

最後にAIM30を使用したフードなどが販売しているのでそちらをご紹介したいと思います。ちなみに『30』は寿命30年を目指す!!という合言葉で使われているようです。

キャットフードAIM30は、人など他の動物と違い活性化されないAIMを持つ猫がAIMを活性化させる成分を摂取できるように配合した総合栄養食で、宮崎教授とマルカンが協力し開発に至りました。

そもそも猫のAIMを活性化させることで、どのような効果が期待できるのでしょう。

マルカンは、AIMについて「猫の健康維持をサポートする総合栄養食」と説明しています。

AIM30が猫にもたらす健康維持効果について腎臓に蓄積したごみがまだ少量で、腎臓の損傷がまだない、もしくは軽度なうちに、少量ではあってもコンスタントにAIMを活性化させることで、腎臓病の予防や病態の悪化を抑制する可能性があります。

AIM30は「療法食」ではなく、あくまでも猫の健康維持をサポートする「総合栄養食」です。そのため、慢性腎臓病の猫だけでなく、療法食を食べている猫にも適していません。すでに慢性腎臓病を患っている猫にAIM30を与えることはお勧めできません。なぜならば慢性腎臓病の“治療”に適した栄養バランスにはなっていないからです。具体的に言うと療法食よりもタンパク質含有量が多く、制限すべきリンも療法食の2倍、ナトリウムも1.5倍含まれています。AIM30の使用にあたり不明な点は獣医師にご確認いただくのが良いと思います。

AIM30の種類は全部で6種類あります。

「室内成猫用」「室内避妊・去勢後成猫用」「11歳以上の室内猫用」「11歳以上の室内避妊・去勢後猫用」「15歳以上の猫用」「20歳を迎える室内猫用」となっており、猫ちゃんの年齢と避妊・去勢済みかどうかによって選ぶことができます。サイズは通常の600gに加え、お試し用の80gも用意されています。トリーツやサプリメントもありますので気になる方はぜひお試しください。

ホームセンター等ではAIM関連商品が多数販売されていますので、若いウチから試してみるのも良いかもしれません。

右からフード、サプリメント、トリーツ

最後までご覧いただきありがとうございました。