『1か月前から肉球が腫れはじめ、他の動物病院で好酸球性肉芽腫かもと言われた』とのことで来院したネコちゃん。

≪ 症 例 ≫

日本ネコ 1歳7か月(推定) 去勢オス 

四肢肉球が1か月前からぷにょぷにょ腫れ始め、歩きにくい様子になった。その頃から右足を外に出して座るようになった。他の動物病院で好酸球性肉芽腫かもと言われた。とのこと

初診時、四肢すべての肉球にぷにょぷにょした軟らかい腫れを認め、右前肢以外の三肢の肉球は赤くなっていました。おそらく痛みを伴い、歩行異常が出ていたと判断しました。上の画像は赤く腫れた肉球表面の細胞です。炎症細胞が多数見られます。

肉球の腫れは、火傷などの損傷、細菌やカビの感染、免疫反応で起こることが多いです。

2週間ステロイド剤で経過観察しても改善がなく、鎮静処置の下、肉球の一部を切り取り病理検査しました。病理検査結果は『猫形質細胞性足皮膚炎』でした。

肉球に起きた免疫反応により形質細胞が集まって炎症反応が起きる皮膚炎です。

エイズウイルス、白血病ウイルス感染が発症に関与していることもあるようです。

このネコちゃんはエイズウイルス、白血病ウイルス共に陰性を確認しています。

下の画像は、最初の画像と肢は違うのですが、治療を始めて2週間後の状態です。もう、歩行異常は出ていません。まだ腫れているようにも感じますが、薬を減量しても肉球の状況は変わらず、歩行異常も見られなかったことから治療終了となりました!!ただし、再発の可能性はある旨ご理解いただき、再発した際には早めにご連絡いただくよう飼い主様にお話ししました。