パグ犬などの短毛種、若齢動物で散発する皮膚炎です。犬に多く猫では稀です。
背景疾患として、糖尿病、クッシング症候群、感染症、全身性エリテマトーデスなど…全身の抵抗力を低下させる病気が関与しているケースがあります。
犬のニキビダニ(Demodex)は健康な犬の毛包内に寄生している常在寄生虫です。
この常在寄生虫が、皮膚の抵抗力のが低い若齢動物や背景疾患により抵抗力が低下い場合に過剰増殖する事で皮膚炎を起こします。
不思議なのですが皮膚の痒みはあまり出ない事が多いです。
人にもニキビダニ症があるのでご存じの方も多いかもしれませんね。
宿主特異性が高く、他の動物種に伝染する事はほぼありません。
人にはヒト特有ののニキビダニD. folliculorum 、犬にはイヌ特有のニキビダニD. canisやD. injyaiが有名。
猫でのニキビダニ症は稀ですが、ネコ特有のD. catiやD. gatoiが報告されています。
当院では皮膚掻爬検査、抜毛検査を実施します。
皮膚炎の状況により細菌検査を実施する事もありますが、ニキビダニ感染を疑うワンちゃんが来院した際は
先ず皮膚掻爬検査(皮膚から少し血が滲むくらい引っ掻いて皮膚表層組織を観察します)を行います。
ダニが検出される確率は40%とも言われ、1回の検査で確実にニキビダニを確認できるという検査ではありません。
皮膚炎の起きている場所や皮膚炎の状況から試しに治療する事もあります(試験的治療)。
治療方法はダニ駆除薬を注射又は内服投与します。
当院ではドラメクチンシロップを処方します。
短毛種、老齢、背景疾患がある場合は再発する事もあります。
若齢動物では皮膚の抵抗力が備わるにつれ自然治癒する事もありますし、経過は良いと思います。