こんにちは。臨床助士の須崎です。

今回はワンちゃんネコちゃんのワクチン接種についてお話しさせていただきます。

わんちゃんのワクチン接種について

子犬の社会化とワクチン

 生後3週齢から14週齢頃の時期は「社会化期」と言われ、中でも3~12週齢が子犬のし

つけをする上で最も大切な時期です。この時期に他の犬と接触させるなど、さまざまな経

験をさせることが重要です。この時期を過ぎると、見慣れないモノや経験のないことがら

に対して、子犬は恐怖心を抱くことがあります。ひいてはおとなになってからの問題行動

にまで発展してしまいます。より早期にワクチン接種を開始・終了して、子犬にさまざま

な経験をさせてあげることが大切です。

より早期のワクチン接種をお薦めします

 犬パルボウイルス感染症やジステンパーは、子犬にとっては、特に恐ろしい感染症です。

 より早くワクチン接種を開始して、早く免疫をつけることが望まれます。

初めてワクチン接種をするオーナー様へ

 1回目のワクチン接種では確実な免疫ができないことがあります。初めてワクチン接種する場合は、3~4週間隔で複数回の接種が必要です。また、接種後免疫ができるまで約2~3週間は他の犬に近づけないようにして下さい。

当院の取扱いワクチンはノビバックワクチン5種・7種になっております。

5種・7種の感染症の症状

  1. ジステンパー

ジステンパーウイルスの感染によって発病します。このウイルスは感染犬の鼻水、目やに、尿などに含まれます。発熱、下痢、鼻炎、結膜炎、呼吸器及び消化器障害を示し、神経症状を起こすこともあります。犬パルボウイルス感染症と同様に、特に子犬では死亡率の高い感染症です。

2.犬パルボウイルス感染症

  激しい下痢、嘔吐を起こし、食欲がなくなり衰弱していきます(腸炎型)。また、子犬   

  に対して突然死を起こすこともあります(心筋炎型)。感染犬の便中には大量のウイル   

  スが排泄され感染源となります。伝染力が高く、ジステンパーと並んで子犬にとって死

  亡率の高い感染症です。

3.犬パラインフルエンザウイルス感染症

  犬パラインフルエンザウイルスは「Kennel Cough(ケンネルコフ:犬の呼吸器症候群)」

  の原因の1つです。咳、鼻水などの呼吸器症状(風邪の症状)を示します。感染犬は

  咳などでウイルスをまきちらします。混合感染や二次感染を起こすと重篤になります。

4.犬伝染性肝炎

  犬伝染性喉頭気管炎と同様に犬アデノウイルス(Ⅰ型)の感染により発病します。感染     

  犬の便、尿、唾液などから経口感染し、下痢、嘔吐、食欲不振などを示し肝炎を起こします。

5.犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウイルス2型感染症)

  犬アデノウイルス2型は犬パラインフルエンザウイルスと同様に「Kennel Cough」の

  原因の1つで、咳を主な症状とする呼吸器系疾患を起こします。特に、ウイルスや細菌と混合感染することにより症状が重篤になります。

6・7.    犬レプトスピラ病(6.カニコーラ型・7.イクテロヘモラジー型)

  レプトスピラという細菌が原因の感染症で、感染動物の尿中に細菌が排泄され環境を汚染し感染源となります。症状は尿毒症、腎炎などを起こす場合(カニコーラ型)と黄疸などの症状を起こす場合(イクテロヘモラジー型)があります。人にも感染する人獣共通感染症の1つです。

よく5種・7種どちらを接種するのがいいですか?と相談されることが多いので5種には入っていないレプトスピラについて詳しくお話しさせていただきます。

レプトスピラ感染症

 レプトスピラ感染症はらせん状の細菌によって引き起こされる感染症で犬のほかにも人にも感染する人獣共通感染症であります。ネズミなどの尿から排出されたレプトスピラは土壌や水を汚染し、それらを口にすることによって感染します。犬では発症から3日までは血中に存在し、それ以降は、腎臓へ移行して尿中に出現するようになります。犬の感染が疑われる場合には、同居犬や人への感染を防ぐため、尿に汚染されたものは廃棄するか、次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒を行い、手袋を着用して処置しなければいけません。症状は、発熱や食欲低下、嘔吐、下痢、粘膜の出血、黄疸、眼の腫れ、神経症状などがみられ、死に至る場合も少なくありません。

 ワクチンは、基礎免疫獲得のための初年度の2回接種後は、地域に流行する血清型のワクチンを年に1回することが推奨されています。

 特にキャンプ、旅行、大雨後の土手などは感染リスクが高いため、そのような水辺など汚染地域に頻繁に行く場合には、事前にワクチン接種を行うことが望ましいです。

5種・7種どちらを接種するのがいいのかわからない場合は獣医師にご相談下さい。

ねこちゃんのワクチン接種について

ウイルスによる感染症は治療が難しいので、ワクチンによる予防が効果的です

 猫の主要ウイルス感染症である

  • 猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)
  • 猫カリシウイルス感染症(FCVI)
  • 猫汎白血球減少症(FPL)

 この3つの感染症を起こすウイルスは伝染力が高いため、予防は最も重要です。

初めてワクチン接種をするオーナー様へ

 1回目のワクチン接種では確実な免疫ができないことがあります。初めてワクチン接種する場合は、3~4週間隔で複数回の接種が必要です。また、接種後免疫ができるまで2~3週間は他の猫に近づけないようにして下さい。

当院の取扱いワクチンはフェリバックL‐3・ピュアバックス4種になっております。

感染症の症状

  • 猫ウイルス性鼻気管炎 FVR

猫ヘルペスウイルスによる感染症です。発生率が高く、激しいくしゃみ、咳、鼻炎、発熱などの風邪のような症状の他、角膜炎や結膜炎を引き起こします。他の呼吸器病との混合感染が多く、細菌の二次感染により肺炎を併発することもあります。子猫では症状が激しく、死亡率の高い病気です。キャリアー(ウイルスに感染している猫)の鼻・口の粘膜から感染します。

  • 猫カリシウイルス感染症 FCVI

猫カリシウイルスによる感染症です。はじめはくしゃみ、鼻水、発熱など風邪に似た症状がみられますが、症状が進むと舌・口の周囲の水疱、潰瘍がみられるのが特徴です。また、他の病気との混合感染により合併症を引き起こし、症状が悪化、死亡することもあります。キャリアー(ウイルスに感染している猫)から感染します。

  • 猫汎白血球減少症 FPL

猫パルボウイルスによる感染症です。血液中の白血球が極端に少なくなる感染症で、元気消失、食欲不振、高熱、嘔吐、下痢による脱水といった症状がみられます。経過が早く、とくに子猫では死亡率が非常に高い病気です。

  • 猫白血病ウイルス感染症 FeLV

一般に若い猫に多く、猫の主な死亡原因の1つである恐ろしい伝染病です。ただし感染してもすべての猫が発症するわけではありません。

猫白血病ウイルス感染症は血液、唾液、涙そして糞尿などに含まれ、感染経路が多くうつりやすい伝染病です。

猫同士が同じ食器で食事をしたり、舐め合うグルーミングやじゃれあいなど、猫白血病ウイルス感染症は人にはうつらず猫属にしか感染しません。

感染リスクがある猫にはワクチンを接種し、陽性猫との接触を避けるようにします。

感染すると、はじめは一見元気そうに見えますが、次第に元気がなくなっていきます。免疫力が低下するのであらゆる感染症に抵抗できない状態になり、口内炎、胃腸炎、鼻炎などがなかなか治らず、感染末期にはさまざまな症状が現れ、最後は死亡してしまいます。

ワクチン接種後の注意

 ワクチン接種ご2~3日間は、できるだけ安静にして、激しい運動や入浴、シャンプーなどはお避け下さい。

 接種後まれに一時的な痛みや腫れがあったり、元気や食欲がなくなることがあります。

 普段と違った様子が見られたら、当院へご連絡下さい。

 特に過敏な犬ではまれに下痢や嘔吐、顔の腫れ、かゆみ、けいれん、ふらつきなどの症状

 がみられることがあります。このようなときはできるだけ早く当院へご連絡ください。

追加接種について

 免疫を持続させるために、定期的な追加接種をおすすめします。

 成犬・成猫は1歳以上でワクチン接種を打った場合、体の中でワクチンの抗体ができているので3年にⅠ回の接種でも大丈夫です。ですが、7種混合ワクチンのレプトスピラは抗体が1年になるので1年に1回の接種が必要です。

またトリミングサロン、ペット同伴のペットホテル、ドッグランなどでは1年に1回のワクチン接種証明が必要な場所もありますのでその場合はワクチン接種をお願いします。

何かご不明な点がございましたらご相談下さい。