当院のインスタグラムでもお知らせしていますが、トリミング業務内での耳毛抜きを休止させていただくこととなりました。
従来から当院のトリミング業務中、すべてのワンちゃんに耳毛抜きを実施していたわけではありません。トリマーと獣医師で相談の上耳毛抜きを実施するケースやオーナー様からの要望があり『耳毛抜き』を実施していました。
トイプードル、ミニチュアシュナウザー、シーズー等 耳の中(外耳道の入り口付近)から毛が密に生えるワンちゃんがいます。
耳毛が密に生えること自体は異常でも病気でもありませんが、耳道入り口付近に毛が密に生えることにより、①痒みの原因になること ②外耳道が高温多湿環境になり細菌増殖を招くこと ③毛に耳垢等が付着し耳道環境悪化を招くことで『外耳炎』の原因になることがあります。
そこで生活に支障の出る痒みや『外耳炎』がある場合、有効な対処法として『耳毛抜き』『耳掃除』を行うことがあります。
近年、動物虐待の観点から『耳毛抜き』はどうなのか・・・という議論がなされ、現在のペットトリマーを養成する学校等で耳毛抜きは積極的に教えていない現状があると聞きました。トリミング関連誌でも耳毛抜きは『ワンちゃんの負担になる処置』と捉えられています。外耳炎等の治療目的・予防目的の『耳毛抜き』は診療と捉え診察業務内で行うこととしました。
【Q&A】
➀ 今まで通りトリミングの施術内で耳毛抜きをしてほしい。
→耳毛抜きはトリミング業務内では実施しません。耳毛抜きを行う際は耳毛抜きを行う必要があるかを判断するための診察と必要に応じた処置を診察業務として行います。
⓶ 耳毛抜きを希望した場合費用はどうなりますか?
→診察料と耳毛抜き処置料がかかります。
治療目的で耳の洗浄や投薬の必要がある場合別途費用が掛かります(従来から変更はありません)。
③ 今まで『ワンちゃんの負担になる処置』耳毛抜きを実施していたのですか??
→耳毛が密に生えているワンちゃんのみに、美容・予防の観点から実施することはありました。『ワンちゃんの負担になる処置』という点ではワンちゃんの反応を見ながら過剰な負担にならないよう配慮して実施していました。
④生えている耳毛は・・・
美容の観点からトリミングでは耳毛のカットを実施しています(これまで通りの対応)。耳毛が伸びる犬種、伸びない犬種、密に生える犬種、密に生えない犬種様々なのですが、耳毛のカットは従来通り行っていますが、トリミング業務内での『耳毛抜き』は中止します。
・・・所感・・・
当院として『耳毛』を抜きたい!!とか抜きたくない!!とか特段の意思があったわけではないですが、方針転換であることには変わりないので、この変化に対し不安や疑問を感じることもあるのではないでしょうか?
今まで実施していた『耳毛抜き』が動物愛護の観点、動物虐待の観点から実施しないことに変化するのは時代の流れでしょう。今日まで『耳毛抜き』をトリマー・看護師・獣医師が「美容・予防・治療の観点からワンちゃんのために必要」と判断して実施していたことが否定されているようで悲しいという訳ではありません。正しいとか悪いとか・・自問自答したときに、私は獣医師なので仕事柄「予防・治療」の観点からこれまで通り対応することに変わりないです。「ワンちゃんの負担になりうる処置」の「負担」をどう軽減できるのかが問われているようなので、スタッフと切磋琢磨できればと思います。トリミング業務内での『耳毛抜き』を休止することで今後どのような利点・弊害があるか分かりません。お感じになったことをぜひ当院まで教えて頂けたら幸いです。