以前から皮膚アレルギー症状で来院のあったネコさんが、『口が腫れた!!』との主訴で来院されました。
5歳 メス(避妊) 屋外へ出かけるネコさんです。
好酸球性肉芽腫症候群は、今回紹介しました症例のように唇が腫れクレーター状の潰瘍が起きる無痛性潰瘍、その他にも皮膚に火傷を疑うようなびらん局面を呈する好酸球性プラークが含まれます。『好酸球』とは正常な血液成分の1つで、アレルギーや寄生虫などの外敵排除に大事な白血球です。この好中球が何らかの要因で過剰に働き、好酸球性肉芽腫症候群が引き起こされます。
一時的なケースから、完治困難なケースまでいろいろあります。
紹介した症例では『完治は難しく、生涯お薬が必要になるかもしれない』と話したところ、とても驚いていました。飼い主さんは何か変なものを舐めて唇があれた?と考えていたので好酸球が関与する免疫関連の病気と聞いて驚いていました。
治療方針はステロイド性消炎剤、免疫抑制剤が主体となります。
出来ればステロイド性消炎剤を毎日 or 一日おきに内服してもらいたのですが、このネコちゃんは気分気ままに外出することから定期的な投薬は困難とのことでした。そこで持続作用型のステロイド注射をして帰宅いただきました。
持続作用型のステロイド注射後2週間して、唇の無痛性潰瘍が大分改善しました。
一応、治療は終了として、またひどくなったら来院いただくこととしました。