『足先に何かできている。肉球の間にシコリができている。』との相談を受けることは多いですが、多くのケースで日頃から肉球を良く舐める習慣が関与しています。

日常的に指間、肉球を舐める刺激によりシコリが形成されるケースが多いと感じますが、シコリが形成されると余計に気になったり、シコリにより湿気や汚れが溜まりやすくなったり、違和感・痛みを伴うようになり、結果的に舐める頻度が増えて悪循環がスタートします。シコリが大きくなると出血を伴うことがあります。

暇で舐める習慣的要因、ストレスなど心理的要因、外傷・火傷など外的刺激、歩き方・骨格的な問題、肥満体形からくる負重、アレルギーなど免疫的要因、腫瘍・出来物による機械的要因、細菌やカビなど細菌的要因が舐め行動の原因になります。

全ての症例で治療が必要とは限りませんが、シャンプー療法、痒み止めなど薬の内服、靴下の装着、精神的フォロー、食餌変更、手術など多方面からの治療が必要になるケースがあります。

上の画像はアトピー性皮膚炎のブルドックの右前肢です。腫れがひどいと痛みが出てきて余計に舐め行動が続くのでステロイドやシクロスポリンを用いた内服治療を続けいています。

下の画像は、今朝急に痛そうに歩くようになった!との主訴で来院された6歳のヨークシャーテリアの右前肢です。日頃から肉球以外にも前肢広範囲を舐める傾向があります。

上の画像はマラセチア感染を伴う舐性皮膚炎。暇だといつも赤ちゃんの指しゃぶりのように指を舐めてしまうワンちゃんです。

下の画像は、シコリをレーザー処置した症例です。日常的な舐め行動は見られなかった症例です。

足先のシコリも様々なのはご理解いただけたかと思います。

アレルギー/アトピーと言った免疫が関与するケースが最も多いですが、腫瘍が関連する場合もあります。

内服薬が長期(場合によって一生涯)必要なケースや、外科手術が推奨されるケースもあると思います。

当院では、自宅でのシャンプー療法を毎日~週に2回と内服治療を組み合わせるケースが多いです。

シャンプーが困難な子、内服が困難な子・・・様々かと思いますので、それぞれに合った治療法を探していきましょう。