こんにちは。臨床助士の須崎です。

お家のわんちゃん、ねこちゃんが突然吐いたらびっくりして焦ってしまいますよね。

「受診するべきか?様子をみていいのか?」悩んでしまうと思います。その判断が重要になることもありますので、今回は嘔吐についてお話したいと思います。

吐き方によってどんな病気が考えられるのかお伝えします。

吐いて呼吸が荒い

ハァハァと荒い呼吸が続いたときは、要注意です。

暑い時期によくありがちな症状ですが、ハァハァと荒い呼吸が、いつもよりひどい、長く続く、触ると熱い、などの場合は、熱中症が考えられます。熱中症はどの犬猫でもなる可能性のある病気ですが、特に短頭種の子などは要注意です。日中とても暑かったりすると、夜中になってから吐く場合もあります。気付いたら水をかけたり、水で濡らしたタオルでくるんだりして、ただちに愛犬猫を冷やし、病院に向かって下さい。

また、気管支炎気管虚脱肺炎などの時も、息が荒くなり、反射的に吐くことがあります。

何度も吐く

一日に何度も吐くときは急激な異変の可能性があります。

愛犬猫が吐いた時、一回で終わるか、継続して何度も吐いているかというのは、重要なポイントです。今まで吐いてなかったのに、いきなり何度も吐いたり、吐く回数がこれまでより増えたときは、体内で急激な異変が起こっている可能性がありますので、ただちに動物病院で診察を受けるようにして下さい。急性胃腸炎が疑われるほか、腎不全肝不全胃や腸の腫瘍など、内臓に異変がおこっているかもしれません。また、何度も吐くだけでなく、下痢もしている場合、おなかに寄生虫がいることもあります。刺激物、毒物によって消化管の広範囲に炎症が起きているのかもしれません。

*吐くときのほかの症状に注目する

*吐く頻度に注目する

病気で吐くときは、吐く以外の症状もあわせて観察すると、病院へ行くべきかの判断の目安になると思います。

どのくらいの頻度で吐いているのかも把握しておくことで早期発見につながります。

治療で改善後、また周期的に吐く

深刻な病気の可能性やより症状が進んでいることもあります。

いったん治療で吐かなくなったのに、ぶり返した、あるいは慢性的に吐くようになったという場合、注目されている炎症性腸疾患という病気の疑いもあります。この病気は、嘔吐と下痢、またはそのどちらかの症状があらわれます。なんらかの原因で腸に炎症が起こっていると考えられ、慢性化しやすく、単なる胃腸の不調と思い治療を怠ると、いつまでたっても症状は改善しません。そのほか、慢性胃腸炎や、胃や腸の腫瘍がある場合、膵炎腸閉塞などが徐々に悪化していることもあります。病院で詳しく検査してください。

運動のあとに吐く

食後すぐの運動は控え体を休ませてあげて下さい。

散歩やドッグランでの運動、モッテコイ遊びなどのあとに吐いた場合、胃がねじれて食べ物が消化できなくなってしまう胃捻転を起こしている可能性があります。胃捻転は特に中・大型犬に多く起こりがちで、ゴハンを食べたり水を飲んだり、おなかがいっぱいの時になりやすいとされています。緊急に治療しないと死に至ることもあるので急いで病院に行って下さい。また、食べてすぐ運動させると消化不良を起こし、吐くこともあります。暑くて夏バテしている場合や、熱中症を起こしていることも考えられます。

せき込みながら吐く

胃腸や内臓ではなく、呼吸器や肺などに異変があることもあります。

肺炎気管支炎気管虚脱など呼吸器系の病気や、ケンネルコフなどの感染症僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の病気など、せき込みやすい病気を患っている場合、せき込みながら反射的に吐くことがあります。呼吸がゼイゼイと荒い、吠え声がかすれているなどの症状とともに、吐く場合もあります。飼い主さんは食あたりなどを疑いがちですが、呼吸器の病気のこともあります。

血を吐く

かなり危険度が高いので急いで病院へ向かいましょう。

口内、食道、胃などで出血が起こっていると考えられます。誤食により、食道や口の中などが傷ついている場合、血を吐いたり、吐いた物に血が混じることがあります。何を飲み込んだかにもより検査や治療は異なりますが、大至急病院で検査を受けて下さい。緊急手術が必要なことや、命にかかわるケースもあります。また、胃や腸の内部の出血や、胃潰瘍ポリープなどによって、嘔吐したものに血が混じることがあります。この場合も、なるべく早めに病院で検査を受けて下さい。

*吐くものの色に注目して下さい。

*吐いたものをよく観察して下さい。

犬猫が吐いたときの状態の危険度は、色に注目するとわかりやすいです。また、細かい異物が含まれていないかも、しっかり観察して下さい。

ピンク色のものを吐く

体内に炎症があり出血している可能性があります。

胃や口、のど、食道などで少量の出血が起こっている場合が考えられ、軽度の胃炎や、のどの炎症食道炎十二指腸炎などの疑いがあります。一度だけ吐いてあとはけろっとしていて、食欲もあるという場合、そのまま様子を見てもいい場合があります。ただし、その日のうちにまた吐く、一か月に一回など周期的に吐いて、以前より吐く頻度が増えたと飼い主さんが感じる場合は、状態が悪化していることも考えられるので病院に行って下さい。食欲がない、元気がないなどのほかの症状がある場合も獣医師の判断をあおいでください。

*空腹で吐く犬猫は食事と食事の間をあけすぎない。

*散歩やふれあいなどでストレスを軽減してあげてください。

空腹やストレスで吐くのを防ぐにはこの二つがお勧めです。普段から実践していただき予防に努めてみて下さい。

緑色っぽいものを吐く

胆汁の量が多いと緑色になります。深刻な病気も疑われます。

ピーマンやきゅうりなど緑色の食べ物を食べたあと、吐いた物が緑色になることがあります。そうでない場合は、なんらかの病気が原因で胆汁の量が増え、緑がかった色のものを吐いた可能性があります。膵炎胃腸炎十二指腸炎腸閉塞などの疑いがあり、病状が進んでいることも考えられますので、急いで病院に行き、診察を受けて下さい。また、異物を飲み込んで(誤食)うまく消化できない場合にも、緑色っぽいものを吐くことがあります。この場合も緊急度は高めです。早く動物病院へ行き、治療を受けて下さい。

水っぽいものを吐く

口から水をこぼすように吐き鼻からもでることがあります。

ゲボーッと勢いよく吐くのではなく、ダラーッと口からこぼすように水っぽいものを吐いたときは要注意です。心臓性肺水腫の疑いがあります。この病気の場合は、鼻からも水のようなものが出てきたり、咳をしたときにいっしょに吐いたり、タンのようなものを吐いたりすることもあります。また、心臓性肺水腫を起こす要因として、血液の循環がうまくいかないことや、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の病気も考えられます。そのほか、胃腸炎でも白い泡の混じった水っぽいものを吐くことがあります。

異物が混じったものを吐く

細かく食いちぎったものが逆流し胃腸を傷つけることもあります。

吐いた物に、誤食したと思われる異物が混ざっていたら、とても危険なケースです。異物を飲み込むときに食いちぎったものが逆流すると、胃や腸を傷つけることがあるからです。その場合は血が混じることもあります。飲み込んだ異物が出てきても、体内に異物の一部や破片が残っていると、嘔吐下痢を繰り返し、脱水症状をおこすこともあります。また、飲み込んだ異物が胃や腸のどこかに詰まって腸閉塞を起こすこともあります。異物を飲み込んだと考えられる時は、決して飼い主さんの行動で判断せず、急いで動物病院へ行き獣医師の診察を受けて下さい。

このように嘔吐の症状で色々な病気の可能性が考えられるので嘔吐があり、「どうしたらいいのか?」と心配なことがございましたらご相談下さい。

また、いつから、何回はいているのか、色、その時の様子、今の様子などを観察していただき、診察の時にお話しいただけると病気の早期発見につながりますので、わんちゃん、ねこちゃんの様子をみてあげて下さい。