こんにちは。動物看護師の佐藤です。

今では、当たり前に家族の一員として愛されているワンちゃん。その歴史は少なくとも約1万5千年前から人と共に生活していたと考えられています。犬は人類が最初に家畜化した動物であり、狩猟や番犬として役立っていました。オオカミが祖先と考えられており、今ではたくさんの犬種がいますが、それは狩猟のやり方、目的、性質、飼育目的などにあわせてそこから改変、選択することで様々な今の姿になっていきました。世界には約700~800もの犬種があると言われていますが、国際畜犬連盟(FCI)には約359種類もの犬種が公認されています。日本にはJKCという団体があり今回は日本に登録されている犬種について少しお話ししたいと思います。

JKCとは一般社団法人ジャパンケネルクラブの略称で、日本の畜犬団体です。純粋犬種の保護、向上有能な犬の普及、畜犬の飼育指導などを目的とした活動をしています。

そんなJKCには現在約209種類の犬種が登録されており、そこから犬の生存目的や形態、用途によって10のグループ(G)に分けられています。

1G シープドッグ&キャトルドッグ(牧羊犬 牧畜犬)

1グループの牧羊犬・牧畜犬は、家畜の群れを誘導、保護する時に活躍していました。

コーギーやシェルティー、シェパード、ボーダーコリーなどが代表的です。

家畜を外部からの野生動物から保護したり、群れを決まった場所に誘導することを使役としていたので賢く、運動神経が高いことが特徴です。また、警戒心が強く、判断力が高い事もこのグループの特徴です。インターネットなどで、ボーダーコリー・羊などと調べると、かっこいいところが見られると思います。

2G ピンシャー&シュナウザー、モロシアン犬種、スイス・マウンテン・ドッグ&スイス・キャトル・ドッグ、関連犬種(使役犬)

2グループの使役犬は、番犬、護衛などの仕事をしていました。

代表的な犬種は、マスティフ系、セントバーナード、ドーベルマン、ボクサー、土佐、バーニーズ、ブルドックです。

多くが大型犬で、番犬向きの警戒心が強い犬種や重い荷物をけん引する作業犬といった力の強い犬種が特徴です。

今でもその名残はあって、ドーベルマンやボクサーなどは警察犬などで活躍していますね。

3G テリア系犬種

3グループのテリアは、主にキツネやアナグマなどの小獣を狩るために改良された猟犬です。

ジャックラッセルテリアや、ヨークシャーテリアなどが代表的で~テリアと名前が付く多くがこのグループに属しています。

活発で明るく好奇心旺盛な可愛いところがある一方、猟犬として活躍していたので、機敏で闘争心があります。また頑固で自己主張がつよい一面もあるのでしっかりとしつけをしないと無駄吠え、噛みつきなどの問題行動が多発してしまいます。しかし根気強く指導し、愛情をたくさん注いであげれば、その分飼い主には愛情深く、信頼してくれます。

4G ダックスフンド

4グループのダックスフンドは地面の穴に住むアナグマや兎を狩る猟犬でした。

ダックスフンドはサイズが3つ(スタンダード、ミニチュア、カニンヘン)と3種類の毛質(ロングコート、スムース、ワイアー)があり計9種類のバリエーションがあります。

地面の穴に住む動物を狩るために活躍していたので、穴に入れるよう手足が短く胴長になっています。

活発で甘えん坊な性格が多く今では愛玩犬として人気なダックスですが、その独特な体型から、椎間板ヘルニアになりやすいので、階段や段差のある場所での生活は注意が必要です。

5G スピッツ&プリミティブ・タイプ(原始的な犬、スピッツ)

5グループのスピッツは主に牧畜、警備、狩猟など様々な用途で活躍してきました。

代表的な犬種は、ハスキーやポメラニアン、サモエドなどです。それと柴や秋田などの多くの日本犬がこのグループに属しています。

古くから人間と共に生活をしていました。犬の祖先と考えられているオオカミに近い犬種が多く、尖った口先、立ち耳、巻き尾などオオカミに似た特徴を持っています。警戒心が強く、独立心が強い傾向にあります。しつけの際は飼い主との信頼関係を築き、適切な訓練を行うことが大切です。

6G セントハウンド&関連犬種(嗅覚ハウンド)

6グループの嗅覚ハウンドは、嗅覚がとても優れており、その嗅覚を頼りに狩猟などで活躍していました。

ダルメシアンやバセットハウンド、ビーグルなどが有名です。

嗅覚を頼りに獲物を追跡し大きな声で獲物をハンターに教えていました。地面に鼻をつけて臭跡をたどる特徴があります。長い耳を持つ犬種が多いですが、これは聴覚をシャットダウンし嗅覚に集中させるためなのだそうです。

7G ポインティング・ドッグ(鳥猟犬)

7グループの鳥猟犬は鳥猟で活躍していました。

ワイマラナーやイングリッシュセターなどが有名で、名前の最後に~セターや~ポインターとつく犬種が多いです。

嗅覚が優れており、鳥猟の際、鳥のにおいを追い獲物を探します。獲物を見つけたら静かに知らせるのが役割です。獲物を見つけたら、片足をあげて(ポイント)または伏せ(セット)をしてハンターに場所を教えていました。ハンターと協力して働いていたため、人が大好きで協調性が高い性格の子が多いです。

8G レトリーバー、フラッシング・ドック&ウォータードック(7G以外の鳥猟犬)

8グループも鳥猟犬ですが7グループの鳥猟犬と行う仕事が違います。

レトリーバーではゴールデンやラブラドール、フラッシング・ドックやウォータードックではコッカー・スパニエルなどが代表的です。

レトリーバーは鳥の落ちた場所を記憶し、落ちた鳥を回収する仕事をしていました。他の犬とケンカしないなど回収犬に必要な素質を兼ね備えています。他の犬に対して優しかったり、ぬいぐるみや、荷物を運んだりするのが好きな子が多かったりするのはこういう仕事をしていたからなんですね。

フラッシング・ドックは隠れている鳥を驚かせて飛び立たせる役割を持っています。

ウォーター・ドックは水の中での作業が得意な犬種のことを言います。ウォーター・ドックの被毛は耐水性のある被毛で、油の膜に覆われたウーリー(羊のような毛)また、カーリー(巻き毛)です。名前にウォーターと付いている犬種が多いです。

9G コンパニオン・ドック&トイ・ドック(愛玩犬)

9グループの愛玩犬は他のグループなどの猟などの仕事はなく、昔から人間の良きパートナーとして活躍していました。

チワワやパピヨン、プードル、マルチーズやパグなどが代表的です。

体が小さく飼い主に従順で可愛く美しい見た目が特徴です。歴史的にも人との関わりが古く、古代エジプト時代から愛玩犬として飼育されていた例があります。

人気犬種ランキング(純粋犬種)では約15年連続でプードル(スタンダード ミディアム ミニチュア トイ)が1位に輝いています。チワワも最新では2位に位置しており長年安定した人気があります。

10G サイトハウンド(視覚ハウンド)

10グループの視覚ハウンドは優れた視覚とスピードで獲物を追跡、捕獲する猟犬でした。代表的な犬種は、イタリアン・グレーハウンド、サルーキ、ボルゾイなどです。

6Gの嗅覚ハウンドとは異なり、嗅覚ではなく、視覚を頼りに狩猟をします。速いスピードで獲物を追いかけるために、スレンダーで筋肉質な体型をしています。また長時間追いかける持久力も持ち合わせており走ることが大好きです。毎日しっかりした散歩や、運動が必要です。インターネットなどでドックレースなどと調べると10グループの多くの犬種がものすごいスピードで走っている動画が見られると思います。

みなさんのお家で暮らしているワンちゃんはどのグループにいましたか?属していたグループの特徴を調べると、 うちの子こういう事してる! だからこういう遊びが好きなんだ! などの発見ができるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。