ワンちゃんの腹部膨満(犬のクッシング症候群)

小手指ペットクリニック 2017年04月08日 - 15:04:52

こんにちは。

『ワンちゃんのお腹が膨れてきた!!』という事があります。

肥満、便秘、胃腸内ガス、お腹の腫瘍、お腹の出血・液体貯留など原因は様々ですが、クッシング症候群というホルモン疾患について紹介します。

 

                          

10歳、雄(去勢済み)のポメラニアンが『体毛の薄毛、腹部膨満している』とのことで来院しました。

元気・食欲・排泄に問題なし。聴診では徐脈傾向、飲水量はやや多いとのことでした。

お腹の中の臓器腫瘍とクッシング症候群を特に考慮し、血液検査と腹部超音波検査を実施。
一般血液検査とホルモン検査の結果(一部抜粋)は
ALT 235(IU/L)
AST 43
ALP 13352                 
GGT 36.4
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)刺激試験
コルチゾールpre  5.0μg/dl
コルチゾールpost 32.7μg/dl

腹部超音波検査では   
・胆嚢粘液嚢腫(初期)
・副腎腫大(右:2.38cm、左:1.2cm)がありました。

そこで、抗ホルモン剤(1日1回)、肝臓薬2種類(1日2回)の投薬を開始しました。
投薬開始10日目、投薬量が適正であるか否かの血液検査を実施したところ、適正でしたので従来通りの投薬を現在も続けています。
今のところ投薬の副作用もなく、元気に過ごしています。

≪犬のクッシング症候群≫
ワンちゃんの場合、その90%は脳下垂体からACTHが慢性的に過剰分泌されるもので、残りの10%は副腎腫瘍が原因です。この病気は副腎皮質からステロイドホルモンが過剰分泌され①皮膚が薄くなり、ポッコリお腹 ②脱毛 ③多飲多尿 ④筋肉萎縮 ⑤呼吸速迫が見られます。クッシング症候群は直ちに動物を死に追いやる病気ではありませんが、糖尿病、血栓症、高脂血症などを起こし突然死を招くこともあります。治療法は外科(手術)、放射線、内科療法があげられますが、現実的には多くのケースで内科療法が選択され、生涯投薬が必要になります。生活の質(QOL)が損なわれていなければ投薬を開始しないケースもあります。

ヒトではホルモン療法による副作用(倦怠感、吐き気)が多く知られていますが、犬では抗ホルモン剤による副作用はそれほど多くはありません。
しかし、クッシング症状(多飲多尿、腹部膨満、皮膚病変、呼吸速迫)がコントロールできず、お薬の種類、量が定まらないケースもあります。併発疾患といって多の病気を伴っていることも多く報告されていますので治療がすべて円滑に進むとは限りません。ワンちゃんの体調を重視しながら慎重に治療を続けましょう。