犬の糖尿病

小手指ペットクリニック 2020年04月28日 - 21:04:35

『水をよく飲む!!』が気になったら要注意です!!

ワンちゃんで多飲多尿の症状が出る病気の代表例は、糖尿病、クッシング症候群、腎不全、感染症が多いです。

多飲:1日に体重1kg当たり100ml(体重5kgのワンちゃんで500ml)以上飲むことが多いです。

多尿:1日に体重1kg当たり 50ml(体重5kgのワンちゃんで250ml)以上オシッコすることが多いです。

 

◆ ケース1 『2週間前から多飲多尿』との主訴で来院

トイプードル 9歳 去勢雄 体重8.6kg

一般状態:安定 心雑音(Levine3/6)

【血液検査】(一部抜粋)

GLU 550mg/dl

ALP >3500U/l

T-Cho >450mg/dl

LIP 480U/l

入院せず、自宅でのインスリン(1日2回)注射治療をスタート!!

2週間おきに血糖値チェック!!そしてインスリン注射量の見直しを行いました。

1ケ月しても血糖値が安定せず、多飲多尿の症状はやや改善したがまだ多飲多尿が見られるとのことでした。

 

インスリン抵抗性を示す病気の併発を疑い≪ACTH刺激試験≫を実施

コルチゾールpre 15.6μg/dl

コルチゾールpost 45.1μg/dl

これによりクッシング症候群の併発が判明しました。

クッシング症候群の治療により、糖尿病の治療(血糖値コントロール)も安定しました。

多飲多尿が改善し、従来より一層元気になり生活できるようになりました。

 

今後も3~4か月おきに血糖値チェック、コルチゾールチェックを行う必要があります。

また、糖尿病のワンちゃんにとってクッシング症候群のような血糖値に影響する病気や、感染症や、アレルギー疾患があると治療経過が思わしくない場合や、治療が困難な場合があります。

糖尿病とクッシング症候群が併発するケースの多くは、①先ず副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)が発症 ②副腎皮質から過剰分泌されるステロイドホルモンの影響で高血糖状態が続く ③継続する高血糖状態に対し、膵臓でインスリン分泌が盛んになり膵臓が疲弊する ④最終的に膵臓からインスリンが分泌されなくなる とうい経過を経て糖尿病が進行していきます。

 

◆ ケース2 『6か月前から多飲多尿で、今日グッタリしている』とのことで来院

チワワ 10歳 雄 体重3.7kg(以前は5kg程度あった)

一般状態:意識レベルがひくく混濁 グッタリ虚脱している 心雑音(Levine1/6)

【血液検査】(一部抜粋)

GLU 500mg/dl

ALP >3500U/l

T-Cho 220mg/dl

LIP 191U/l

Na 162mEq/l

K  7.8mEq/l 

Cl 102mEq/l

【尿検査】

尿糖 ++++

ケトン ++

比重 1.008

pH 8.0

 

即時入院治療を開始

まず生理食塩水の点滴を開始し、インスリンの微量点滴を開始したところ何とか一命をとりとめました。

 

グッタリで来院された場合、大変申し訳ありませんが命の危機が迫っており、入院中に体調が悪化し亡くなってしまうケースもあります。

糖尿病という誰もが聞いたことがある病気ですが、とても恐ろしい病気です。

ワンちゃんでは膵臓からのインスリン分泌が欠如し、1日1~2回のインスリン注射が必須となるケースが多いです(ヒトの1型糖尿病に似ている)。

一方、ネコさんでは食事療法や基礎疾患の治療により体質改善され、インスリン分泌がある程度保持されているヒトの2型糖尿病に似ていると言われています。